器のある旅   益子の旅  2000.4   

  益子焼きは江戸時代末期、笠間で修行した大塚啓三郎氏が窯を築いたことに始まると言われています。
  1924年に濱田庄司氏がこの地に移住し「用の美」に着目した柳宗悦らとともに、民芸運動を推めるかたわら、
  地元の工人たちに大きな影響を与え、益子焼は「芸術品」としての側面を持つようになります。
  現在、窯元は約380、陶器店は50店

  平成12年4月28日、暖かい春の日差しの中、初めての「陶芸の旅」に夫婦で出発。
  陶芸の奥の深さに魅せられた普通の主婦から見た益子と言う町を、益子焼を、ご覧下さい。
  1泊2日の「陶芸の旅」・・・・・心を込めて伝えます。







「益子駅」

下館駅から、1両編成の真岡鉄道に乗り、益子駅へ。
駅前は想像以上に静かなところでした。
綺麗な駅が浮き上がるほど、駅周辺は昔の
ままのたたずまい・・・
駅から東に向かって10分ほど歩くと1本の
商店街らしき道へ。
平日の昼過ぎの益子の町は人っこひとり居ない別世界。







「染谷書店」

商店街を入ってまもなく、左手に
「染谷書店」があります。
「関東で陶芸に関しての書籍がもっとも
充実しているお店」と
とある本で紹介されているだけあって、凄い!!
「1日中、居てもい足りない・・・」と
思うほどの陶芸関係の本の多さです。
益子の町の入り口で、このような素敵な本屋さんが
出迎えてくれて、「しあわせ」の一言です。

ここで3冊の陶芸関係の本を購入し、
ドキドキワクワクの旅の始まりです。

  

「日下田藍染め工房」

昔ながらの商店街を抜けると、新しい歩道が始まります。
そこには両側に斬新?且つ、趣のある陶器のお店が
美しく並んでいます。

その入り口の左手には、栃木県の指定文化財に
指定された日下田藍染め工房があります。

瓦葺の建物の中には、藍染めのかめ?が
ありました
言葉ではあらせない、藍染めの「藍」の色でした。


「陶庫」


最初に目に飛び込んでくるお店はやはり「陶庫」でしょう。

ここは、余りにも有名な器屋さんです。
お店の作りも、中のレイアウトも今までの器屋さんとはまったく違う、
個性的な感じです。
でも、不思議とすんなりと受け入れられる落ち着く雰囲気です。

私はここで、コーヒードリッパーとポットのセットを買いました。
コーヒー好きの主人はこれで入れたコーヒーが「美味い」と
感激していました。

それを見本に今、作陶中。
いつの日か、HPでご報告できたら嬉しいです

     

「大誠窯」

大きな2つのお店の間に裏に抜ける道が・・・
(写真上)するとそこには・・・

ご覧のような(写真下)登り窯がありました。
年3回、火を入れるそうです。
想像するだけで、ドキドキします。
   
   




「岩下製陶

両脇のお店もなくなりだした頃、右手に見えてくるのが、
この「岩下製陶」です。

関東では、一番の大きさという登り窯があると言う看板に
引かれて入っていくと・・・あの「カロリーメイト」の
TVCMで若い女優さんがろくろを回しながら
携帯電話をする・・・という
場面の撮影をしたところとか・・・

(写真4枚目:撮影時様子写真が張ってありました。)

その登り窯の奥には、太平洋戦争以前に
使っていたと言う、登り窯もありました(写真3枚目)
長い歴史を感じることが出来る
素晴らしい一角でした。

   
   
   
   
「陶芸メッセ・益子」


      「陶芸メッセ・益子」のパンフレット

益子共販センターの奥を少し登っていくと、小高い丘の上に
「益子陶芸メッセ」があります。
濱田庄司氏が創作活動の拠点としていた、旧濱田邸や登り窯があります。
敷地内には他に、濱田庄司氏や益子の陶芸家の
作品が展示されている陶芸館や
陶芸工房もあり、ろくろ、手びねり、絵付けの体験が出来ます。


益子焼きを世に広めた濱田庄司氏
「民窯の器」と言われるように、「使う美しさ」を感じる事が出来る作品がたくさんありました。

また、反対に、その頃の時代でこのような斬新な大胆なデザインを・・・
と思うような作品もありました。

登り窯を覗くと、濱田庄司氏が作陶していた
当時の場面が浮かんできそうな思いにかられました。

この大きな登り窯の中で作品たちは熱く燃えて火から魂をもらい、
「窯だしの日」を待つのですね。


「陶芸メッセ益子入り口


「陶芸館


「濱田庄司邸」(正面)と「陶芸工房」(左手)
「登り窯」(右手)



「登り窯」


「登り窯の中の様子」


「登り窯の正面」
「濱田庄司邸」

この家の中で・・・
濱田庄司氏がここにろくろを置いて作陶に没頭したのかしら・・・
と思うと、胸が熱くなりました。
タイムスリップしてしまうような気持ちになりました。



        
      「濱田庄司邸正面玄関」                             







        「ろくろ台」

「陶芸メッセ・益子」の中は、いたるところに陶芸品が・・・
例えば・・・
トイレの入り口も・・・



陶芸館の入り口広場の両側には
このような(写真右)素敵な石の小川が流れています。

今にも小川のせせらぎが聞こえてきそうでした。

石畳の中にもこうして可愛らしい焼き物が
顔を出していました。





東門の入り口の前にはもみじをちりばめた
大きな焼き物レンガが・・・

「益子 春の陶器市」



4月29日〜5月7日まで
益子共販センターで、「春の陶器市」が開かれていました。
何処から来たのかしら?と思うほどの人の多さに
驚くとともに、陶器の数、出店舗の数にも驚きました。
雑誌や陶芸の本などでおなじみの、大きなたぬきさんも
春の日差しを浴びて、気持ち良さそうでした。



陶器屋さんと一緒に、春の山菜やたけのこ、
採れたての野菜、イチゴなど、
魅力のあるものをいっぱい売っていました。

器もこのような新鮮で美味しそうな
野菜を入れたら、もっと映えて素敵な器に
見えること、間違いなしでしょうネ。


共販セインターの直ぐ傍に「益子協同組合」があります。
土、釉薬、道具を始め、陶芸に関するものが
所狭しと置かれていました。
土も釉薬も宅急便で送ってくれるので、
私も、土を40キロ、釉薬を1リットル送ってもらいました。



「益子の町並み」


この道の両側に数多くの陶器のお店が並んでいます。

そして、歩道の盲人用プレートも・・・
ご覧の通り、益子焼なのでした。



  

陶器のお店の並ぶ益子の町のトイレの入り口は、
案内版も益子焼でした。

思わず、便器も益子焼?
などと思った私でしたが、さすがにそこまでは・・・でした。


「おまけ」

その1

SL走行を記念して、「SL弁当」も発売していました。
思わず買った私です。

右の写真はお弁当の包みです。
中身は普通の幕の内弁当ですが、山菜おこわのもち米が
とっても美味しかったです。



その2

今回のお宿・・・「民宿・山路」さん
陶芸街道の終わりの方ですが、共販センターへは近く、
1泊5500円という嬉しいお値段の割には、
品数豊富な晩ご飯。    綺麗なお部屋。
うぐいすの鳴き声のするなかなかの民宿でした。






その3 「感想文」

結婚して15年。子供を留守番にして初めての夫婦二人きりの旅。
「楽しんできてね」と快く送り出してくれた子供達。

陶芸三昧の1泊2日に胸ときめかせた私。
自分は興味でもない陶芸の旅に文句も言わずに
付き合ってくれた主人。
その上に、「カメラマン」というお仕事付き!!
そう、今回の写真撮影は全て、主人がやってくれました。

行きはたった1つの荷物だったのに、帰りには5つの荷物に・・・
お土産も思い出もたくさんの素敵な陶芸の旅でした。

益子で陶芸の勉強(修行)をしている若者の多さに驚くとともに、
私も出来ることなら修行に来たい・・・と心から思いました。

でも・・・
やはり愛する家族と一緒に居てこそ、
心のこもった作品が出来ると思います。